ハンブルグバレエ・ニジンスキー
サンフランシスコのオペラハウスに、ハンブルク・バレエが来ており、ニジンスキーを観てきました。
普段バレエをみることは、それほどないのだけれども、なにしろバレエ漫画が大好きな私。
スワンとか、テレプシコアとか、まいあとか、もちろんアラベスクとか・・・
こういうのは、耳年増じゃなくて、なんていうのでしょうか。
期待大で、わくわく出かけました。
J.Neumeier氏によるニジンスキーへのオマージュにあふれた作品でした。
第一幕は、彼の最後の舞台となったスイスのサンモリッツのホテルでの場面から、
客席が明るいまま、ピアニストの本番前の調整? がまだ続いている雰囲気の中で始まり、
お客のカップルがおしゃべりをしながら登場し、ピアニストに多分「もっと踊れるような曲にしてちょうだい」とかなんとか言う(よく聞こえなかった・・・)、あれれ、という感じではじまった。
ニジンスキーを手を引いて中央に引き出すのは、真っ赤なドレスの妻。
家族・学校・ディアギレフとの出会い・その後のバレエ作品が、虚実ないまぜというか、
彼の記憶をたどる感じで、次々と登場する。
もちろん、妻との出会い、結婚、ディアギレフとの絶縁など・・・
第二幕は、ニジンスキーの狂気--内面から--が、
幼少期から、家族、学校、劇場、妻の不貞、そして第一世界大戦と、記憶をたどるように続く。
統合失調症といわれているニジンスキーの内面は、まさに狂気としか言いようのないものでした。
ニジンスキーとその影の間での葛藤は、正視できないくらいほどの激しさがありました。
でも、救いは、妻が(多分)最後まで寄り添っていたことかな・・・ソリに彼を乗せて引っ張っていたので。。。
素晴らしい舞台でした。
音楽も、素晴らしかったし。堪能しました。
身体表現は、例えば音楽とくらべても、ものすごく雄弁。(素人の目からはですが)
彼の作品の数々はもちろんのこと、
多分学校のメタファーだと思うけど、ロマンチックバレエの数々、
ジゼル、ラ・シルフィールド、ブルーバードなどなどが登場。
豪華絢爛でした。
彼の作品も、春の祭典、牧神の午後、バラの精霊、ティル・オイレンシュピーゲル、Jeux、ペトルーシュカ・・・とhomageと、二幕でのその変容と、たっぷりでした。
もう、満足〜、堪能です。
ロマンチックバレーや彼のバレーの振り付けやフィギャーを使った表現はもちろんのこと、
ひとり白いロマンチック・チュチュで登場していたお母さんが、第二幕ではグレーのチュチュに変わっていたり、
結婚式の場面でも、白と黒(グレー?)の衣装だったり、小道具(?)での表現も、盛りだくさんでした。
私が気が付かなかったことも、たくさんあったはず・・・
で、途中からお腹いっぱいになってしまいました。
あまりにたくさんのメタファー、しかも直接的な比喩から、抽象的なもの、暗喩、隠喩のあらしで、雄弁な身体表現のあまり雄弁さに、ちょっとつかれてしまったかも。
あと、バレエの振りが元の音楽と違う音楽の中でperformeされること自体の違和感があったのかもしれません。
まぁ、音楽だと表現に含まれているレトリックに気がつないことの方が多いのですが、
その点、上にも書いたみたいに、身体表現は雄弁だなぁと思い知りました。
もちろん、踊り自体は、群舞も含め、どの方も素晴らしかったのは、前提でのことですが、
バレエやダンスは、もう少し抽象度が高いか、あるいは抽象度が均一に方が好きかも・・・
と、言いつつ、また見たいです。
やっぱり、生は素晴らしい。
サンフランシスコのオペラハウスは、あっさり目の内装で、とても素敵でした。
オペラも観てみたいです。
演奏も素敵でした。
オケの中では、ソロがあったバイオリンとビオラが、舞台の上に呼ばれていましたが、
ビオラとのデュエットだったピアニスト、登場場面ではピットじゃなくて舞台の上で一緒にお芝居していたのに、
呼ばれなくて、あれれって思いました。
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