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2009/04/19

最高裁判決: 戸籍と住民票の関係、市町村の役割

事実婚夫婦が、子の出生届が受理されず、無国籍であることを理由に、区が住民票を作成しないのは、違法であるとして、区に対して住民票の作成などを求めた訴訟の上告審第二小法廷判決。
判決全文

判決は原告の敗訴となったが、
判決理由の中で、
社会通念に照らし著しく困難であり又は相当性を欠くなどの特段の事情がある場合には、
出生届けが未提出でも、市町村長は職権調査による住民票の作成を義務づけられるとしている。

その上で、本件は、

出生届けの未提出につき、やむを得ない事情はない、
また、子はまだ4歳で具体的な不利益は被っていないため、
住民票を職権で作成する義務を負う事例とはいえない、としている。

やはり疑問・・・
市民の側が住民票の作成を求め、しかも区の側も生活実態として、子の居住を認知しているのにも関わらず、住民票は作成しないというのは、やっぱりおかしいのではないか。

住民票の作成には、届出の催告による方法が原則であり、職権による作成が例外だとしても、今回のように届出の催告による方法がうまくいかない時には、むしろ積極的(?)に、判決理由とは逆に、職権による作成により、大きな問題がない限り、住民票の作成を進めるべきなのではないか。
住民票の作成は、行政がさまざまなサービスを行う基礎的なデータであり、身分関係の登録を目的とした戸籍制度とは、その制度趣旨を異にする。住民の安全安心な暮らしの確保・住民の福祉の実現が、基礎自治体としての市町村の行う行政の重大な目的の一つであるならば、そのための基礎的な生活実態の登録に関しては、より積極的に職権により行って良いのではないだろうか。
やや極端なことを言うなら、戸籍との連動は、もっぱら役所の実務上の便宜の問題ではないのか。この便宜上の理由と、住民の福祉の実現を、天秤にかけたとき、市町村の責務としてどちらが重いのかは、明らかでろう。行政が自ら、パブリックセクターとしての役割を放棄しているのではないか。

それにもかかわらず、今回の事例で、住民票を「あえて」作成しないのは、母が適正な出生届を提出しないこと(非嫡出子という表記が差別的であるため、これを嫌ってのこと)に対する意趣返しの向きがする。住民票を作成しすることにより、区側が被る不利益はなんらなく、子が被る不利益を未然に防ぐことができる(不利益は、判決理由のいうような選挙人名簿だけではない)のにも、かかわらず・・・なのだから。
こういう、いわば意趣返しのようなことをする行政を、司法が裏打ちしてどうする!!

また、原告は住民票の作成を希望しているのである。今回とは違って、親が住民票の作成を望まない場合に、その意向を無視して市長村が住民票を作成したケースであれば、多数意見の議論も説得力があるかもしれないが・・・(別途議論が必要であろうが)

この点、今井裁判長による意見は、説得力があると感じた。
ちなみに、意見は、「住基法による義務に違反し,違法であるが、国家賠償法上も直ちに違法とはいえない」としている。

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