News: 愛知県DV「危険度アセスメント表」導入へ
報道によると、
愛知県が、DV(配偶者や交際相手からの暴力)被害で保護した女性らの危険度を区分する「危険度アセスメント表」の概要をまとめた。
危険度を3段階に分け、危険度が高い場合は外出を控えてもらったり、外出時に職員が同行したりといった対応をとる。主に県とDV被害者保護の中核を担う県女性相談センター、婦人保護施設の3者が共通認識を持つための手法として役立てる。
というもの。
これは、
昨年の長久手町での事件を教訓にDV支援の現場と県・関係諸機関などが協議の上、
まとめたもの。
被害者が実際にどこにいるかはとは相対的に別に、危険度に応じた支援を可能にするものであり、
愛知県がDV被害者の保護・支援に責任を持ってあたることを、改めて確認した制度であろう。
実際の運営に当たっては、アセスメント自体の評価はもちろんのこと、情報の管理や、守秘義務の範囲、アセスメント表を作成する範囲(民間のシェルターやステップ・ハウス、病院などに居る場合など)の問題など、留意する点はたくさんあるが、
まずは、
政府のDV基本方針にもあるように、切れ目のない支援と安全確保のために、また民間グルーブも含めて、各種の機関や団体の協働を実質化するための重要な一歩になることが期待される。
それから、記事には、「一時保護所の機能充実や市町村が行う配偶者暴力相談支援センター設置の支援といった施策を盛り込む。」とあったが、
市町村のセンターの設置の支援よりも、それぞれの自治体の実情を勘案しつつ、むしろ基本計画というかたちで、DV対応政策・施策が各市町村の政策・施策全体の中に位置づけることが、急務であろう。県の基本計画の中でも、またその他の県と市町村との協力・連携を通じて、推進すべきと考えている。もちろん、センターの設置を既に行っているところ、設置に向けた動きを始めている先進自治体については、県は積極的に連携し、そこでの経験を他の自治体と共有することが大切であることは、言うまでもない。
繰り返しになるが、
センター機能とは何か、
これまでの相談業務とはどこが違うのか。
について、十分検討し、自治体全体の政策の中に位置づけることが重要である。
「安全・安心のまちづくり」のためには、DV施策は重要な柱になるからである。
同時に、実際の窓口等では、DV被害者と加害者の間で板挟みにあうことも多いが、
県はもちろんのこと、市町村は、彼らの裁定者ではなく、
あくまでも被害者の安全確保のための対応であることを忘れてはいけないと思う。
しかも緊急性と持続・継続性の矛盾する二つの観点からの対応が求められている。
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