book: 名もない顔もない司法
ダニエル・H・フット著『名もない顔もない司法−日本の裁判はかわるのか』
アメリカ合衆国最高裁ウォーレン・バーガー長官のロー・クラークを経、現在東京大学教員である著者による、日米の司法制度の比較研究である。
司法制度改革にも深く関与している著者の視点は、引照点がアメリカ合衆国であるという点の限界はありつつも、非常に有益である。
また、著者が明示的に論じているわけではないのだが、司法制度との関係で用いられる「政治」・「政治的コントロール」という語の内実の日米間のズレというか、乖離が、
非常に印象深かった。
このズレは、今(あるいは今般の司法制度改革の議論)に始まったことではないのは、
児島惟謙のことを思い出しても明らかであろう。
裁判官の個性の象徴としての「椅子」、裁判官の行動範囲や社会とのつながりの狭さの象徴としての「靴」という二つの小道具も、びりりと効いている。
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