研究会: 連邦制について in 神奈川大学
(社)行革国民会議の理事・事務局長の並河信乃氏をお迎えして、研究会が行われた。
(地方分権ではなく)地方主権の観点から、連邦制の具体的な制度設計についての報告であった。
1994年にまとめられた日本連邦構想のお話しを中心に、新しい財政調整制度や、今後の展望について、お話しいただいた。
理念や社会構想のレヴェルでぶれることなく、制度設計と、その実現のための道筋を論じておられ、非常に興味深かった。
その中でも、特に印象的だったのは、以下の二点
一つは、基礎自治体の体制は、それぞれの自治体によって、バラバラ・多様でよいという点。
これは、アメリカや英国などでは当たり前だし、日本においても最近はシティ・マネージャー制の導入など、積極的な議論もされているそうなのだが、
もしかすると、日本では、最も実現が難しい点というか、理解が難しい点かもしれない。
もう一つは、「司法の分権」と言う点。
これは、道州制の多くの議論との一番の違いなのかもしれない。
連邦制での、強化した立法権のバランスをとり、政府(自治体政府)の行政をチェックするために、
司法権もまた自治体に分権するということ。
共通の法である一般法に関しては、連邦に属するが、行政法と呼ばれる地方政府の行政にかかわる紛争については、自治体に属する裁判所で解決するというもの。
一般法と行政法というネーミングは、いささかミスリーディングとの印象をもったが、
内容に関しては、とても興味深いものだった。
行政のチェックを行政委員会などではなく、司法が担当するというところに、大きな意味があるであろうし、司法の機能・役割についても、これまでとは異なる議論が出来そう。
現在の道州制や連法制に関する議論が、あまり大きな関心を集めていない点については、
現場では、一極集中、集権システムによる弊害がたくさんある。それを、広い意味での分権の取り組みのなかに組み立てていくことが必要。それはアカデミクスの役割である。というご指摘もあった。
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 学級で学ぶ“法教育”(2013.02.02)
- 法科大学院適性試験って、常識についての試験だったの?(2009.03.20)
- 法務省: 全国の刑務所に社会福祉士を配置(2009.03.20)
- 東京法哲学研究会と法理学研究会・合同研究合宿 at 御殿場(2008.09.09)
- 研究会 : ジェンダー論(フェミニズム)と法学の不幸な(?)結婚(2008.07.16)
「講演」カテゴリの記事
- 学級で学ぶ“法教育”(2013.02.02)
- sympo : 日米関係シンポジウム Japan Matters for America/ America Matters for Japan(2010.10.27)
- 西三河から発信する自然保護行政・動物行政(2010.01.12)
- lecture : 性暴力と性被害の実態と対応(2009.06.09)
- シンポ: 科学の倫理、少年犯罪(2009.04.08)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント